言葉はしあわせの種。

まほうの
ことば

文・写真:松浦弥太郎
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その一言で冬中あたたかい。という言葉があります。たった一言の心優しい言葉で、人はよろこび、いやされ、どんなに寒く長い冬であっても、厳しい寒さを忘れることができる。いつまでもあたたかい気持ちでいられる、という教えが込められています。そのくらいに、言葉は時に人の心を助ける魔法になるのです。

言葉はボール

私たちは日々言葉によって、人とコミュニケーションをとり、人間関係を築いています。言葉をボールと例えたら、自分が人に投げるボールは、どんなボールなのでしょうか。相手の目を見て、ふわっと捕りやすいように投げて、相手が受け取ったことまでしっかり見届けているのか。もしくは、相手がボールを受け取る構えをしていないのに、びゅっと力いっぱい強くボールを投げて、相手を驚かせてしまっているのか。ボールの投げ方はいろいろありますね。

やさしく投げればやさしいボールが返ってくる

こんなふうに言葉を、ボールと例えると、おのずと、どんな状況であっても、どんな言葉を、どんなふうに投げたらよいのか、相手が受け取りやすいように投げられているのか、よくわかると思います。実際のところ、言葉は、ボールでもなく、カタチもなく、モノでもありませんが、人の繊細な生身の心に向けられるものです。ですから、カタチあるモノ以上に、その言葉次第で、人の心を傷つけることになり、また、人の心を癒やし、喜ばせて、救うこともできるのです。

たのしいキャッチボールになるように

受け取りやすいように

言葉使いには、想像力を精一杯働かせることです。自分が伝えたいこと、話したいこと、言いたいことを、何も考えずに、一方的に発するのではなく、今、こんなふうに言葉を発したら、相手はどんなふうに受け取るのか。どう感じるのか。嬉しいのか、しあわせなのか、悲しいのか、傷つくのか、びっくりするのか、と想像力を働かせて、言葉によるコミュニケーションを図ることが大切です。時には、相手にとって嬉しくないことを言わなければいけない時もあります。そんな時でも、もし自分だったら、こんなふうに言われたら悲しいと思う言い方をしないこと。言葉というボールの投げ方を考えるべきです。厳しい言葉であれば、なおさら、相手が受け取りやすいように投げるべきなのです。そのことを忘れてはいけません。

自分がうれしいと思うボールを

いつもありがとう

暮らしにおいても、仕事においても、言葉によるコミュニケーションは不可欠です。人間同士ですから、言葉には感情も含まれ、時には言い争いもあるでしょう。それも良しと考えたとしても、相手を敬う気持ちと、感謝の気持ちは常に忘れずに、生身の心を傷つけるような言葉を使わないようにしましょう。昨今は、メールでの言葉のやりとりもあるでしょう。そんな時こそ、言葉の使い方。言葉の選び方には注意をするべきです。してはいけないのは、強いボールを投げられた時に、自分も強く投げ返してしまうことです。怒りがこみ上げてきたら、10までゆっくり数えることです。

どんな言葉のやりとりをしようとも、最後に必ず「いつもありがとう」という言葉で終わらせるようにしましょう。その言葉が言えなければ、自分の表情や態度で伝える努力を精一杯しましょう。また、「いつもありがとう」のあとには、「〜さん」と、相手の名前を付け加えてみてください。どんな内容の話であっても、相手はきっとにこやかに微笑んでくれるでしょう。魔法の言葉は「いつもありがとう」。

2015年8月10日
文・写真:松浦弥太郎

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6 件のコメント

気持ちよく会話のキャッチボールができた後味は、出汁が効いた美味しいお味噌汁、爽やかなフルーツ、すっきりした天然水のように心地よい。そんな感覚を言葉に添えて。

コトバはコトダマ。魔法のことば。言葉だって、ていねいにやさしく扱ってもらえたらきっとうれしいはず!

松浦弥太郎さま。
いつもありがとうございます😊

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