お盆とは
幼い頃の思い出です。夏休みのまっただ中、8月になると、祖母や祖父の口から「お盆」「ご先祖さま」という言葉をよく聞くようになり、家の中では、お花や提灯の用意、お墓参りに行く予定を立てたりと、少しばかり慌ただしくなりました。子どもたちは、そんなお盆を楽しみにしていながらも、亡くなったご先祖さまが、家に帰ってくるという神秘に胸をどきどきさせました。
お盆とは、一般的には、8月の、13日、14日、15日、16日と、4日に渡って行われる、ご先祖さまの霊を祀る大切な行事です。
普段忙しくて、ご先祖さまのお墓参りは、なかなか出来ないし、どんなふうにしたらよいかわからない、という方も少なくないでしょう。しかし、夏においては、お盆に、ご先祖さまのことを思い出し、お墓参りをし、日々の感謝を捧げ、様々な報告をする。それは自分と家族全員が、とても心が安まる尊い行いです。
もし今、心がそわそわしたり、悩み事があったり、元気でない自分であったら、気分のリフレッシュという意味でも、お盆だけでなく、思い立った時にも、お墓参りをしてみるとよいでしょう。ご先祖さまの霊は、自分の心を支えてくれる拠り所として、ありがたい存在なのです。
基本のこと
さて、これから迎えるお盆には、何をどうすればよいのでしょうか。お盆の4日間はこんなふうです。13日は、盆の入りといい、家族全員でお墓参りをします。14日、15日は、盆の供養をする期間で、必要であれば法要を行います。16日は、盆の明けとなります。一般的には、13日に、盆棚を飾り、お墓参りをし、16日までは、ご先祖様を供養して過ごします。
お墓参りに行けないときはどうしたらよいのでしょう。そんなときは自宅の仏壇をきれいに掃除し、お花や果物などをお供えし、お線香を立てて手を合わせます。仏壇が無ければ、写真を飾るだけでもよいでしょう。
お盆の飾り付け
新盆の場合は、白木で作られた新盆提灯を玄関や軒先に、ご先祖さまが迷うことなく家にたどり着いてもらうように吊るします。新盆提灯を使うのは一度きりです。使い終わった提灯は、お焚き上げしたり、紙に包んで捨てたりと処分します。通常は、盆提灯を、玄関や軒先に吊るし、お盆が終わったら、また来年のために保管しておきます。
お盆には、盆棚をいう祭壇を用意します。小さなござを敷き、その上にナスやきゅうりで作った馬や牛(ご先祖さまが移動の時に乗る)を置き、おだんごや季節の野菜や果物と、洗った米になすやきゅうりをサイの目に切ったものを混ぜて、はすの葉の上に盛りつけた「水の子」を供えます。盆棚の左右には、灯籠や提灯を飾り立てます。
こういったお盆のしきたりは地方によって、さまざまな方法がありますので、ご家庭ならではの方法でよいでしょう。
大切なのは
しきたりや形式を紹介しましたが、それよりも大切なのは、ご先祖さまを供養をする気持ちです。ご先祖さまがいたから今の自分がいることに感謝をする。ご先祖さまが生きている間に積んでくれた功徳のおかげで、今の自分が生かされているということに感謝する。そういったご先祖さまへの感謝の気持ちを、忘れないようにするために、お盆やお彼岸といった、しきたりがあるのではないでしょうか。
お盆のお墓参りには、ご先祖さまにお会いするために、子どもたちは、とびきりおめかしして出かけたものです。ご先祖さまと一緒にごちそうをいただき、ご先祖さまと日々を過ごし、お見送りする。
お盆は、大切な夏の行事なのです。
コメントを書く
お盆の心得がとても分かりやすく、心温まります。お盆はいつもよりゆっくり穏やかな空気が流れるように感じます。いつも見守ってくださり、幸せに導いてくださっているご先祖様。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。