玉子料理の工夫と発案

スクランブルな
トマトオムレツ

文・写真:松浦弥太郎 
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つい先日、中華料理を食べに行き、もう一皿何か注文したいなと思って、注文したのがトマトオムレツだった。お腹が一杯になった頃の、最後の一品で出てきたけれど(その時はもう無理と思った)、ぺろりを食べてしまった。トマトがあっさりしていたからか、オムレツがふわふわだったからか、とにかく妙においしかったので、トマトオムレツは好印象として記憶に残った。

冷蔵庫の野菜室に、半分だけ残ったトマトがラップに包まれて、しわしわになって忘れられていた。だからといって捨てるわけにはいかない。何かに使って食べようと、あの時のトマトオムレツを作ってみようと思い立った。玉子は2つかな。ラップを取ったトマトは、完熟を超えて、さらにやわらかくなっていた。

玉子をボウルに割り入れて、軽く溶き、これもまた残っていた生クリームを量を計らずに加えた。目分量で30ccくらいかな。一気に加えたので分離しそうになったので、あわててかき混ぜた。そこに塩と黒コショーをひとつまみ。

中火のフライパンにオリーブオイルをひいて、玉子液をじゅわっと入れる。あ、ごま油だ、と思ったけれど時は遅し。これは試作だからと心落ち着かせて、まわりから菜箸でくるくると混ぜていく、火加減を弱めたり、強めたりしながら。ふわふわスクランブルエッグのつもりで。

玉子が半熟スクランブルなオムレツになったら火を止め、トマトを加え、混ぜようとしたら、菜箸ではうまくいかず、あわてて引き出しを開けて、へらでさっくりと混ぜる。なんとなくかたちを整え、お皿に盛りつけた。残っていたズッキーニを輪切りにして、塩を振ってグリルしたのを添えてみた。

むー。なんだろう。トマトの風味とスクランブルなオムレツは合うのだけれど、中華料理店で食べたものとは別の味(当然ですが)。バターも使っていないのであっさりな味。ちょっとしょう油を垂らしてみる。あー。これはおいしいかも。ほっと安心。うん、おいしい!

けれども、見た目があまりおいしそうではないような気がする。スクランブルなトマトオムレツ。いいのかこの感じで?

残り物のしょんぼりしたトマトはオムレツの具にすると良い、ということはわかった。また作ろう。つづく。

見た目はよくないけれど味はよし。というのは違うと思っているから複雑な心境。
2016年12月6日
文・写真:松浦弥太郎 

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2 件のコメント

サッと熱を加えたトマトって
なぜあんなに美味しくなるのでしょぅ……
.°ʚ(*´˘`*)ɞ°.

弥太郎さんのお料理している姿が浮かぶ文章…微笑ましいですねっ^^
工夫がいっぱい、美味しそうです。
色合いも、きれいです。挑戦してみます。

朝から、しあわせな気分…ありがとうございます。

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