雑巾を縫うこと
雑巾は主婦の片腕です。雑巾とは、床を拭いたり、窓ガラスを磨いたり、家の中のあちこちの汚れを拭きとるために、布を重ねて縫ったものです。本来、雑巾とは、自分の手で縫うものでしたので、その用途によって、綿や麻、絹と使い分けていました。
使い古したタオルなどを捨てずに取っておいて、家の中や身の回りの掃除をする雑巾を縫う。こういう心持ちは、なんでも安く買える現代であっても、自分の暮らしを整えるための、ちょうどよいバランス感覚でしょう。
そしてまた、針と糸で布を縫うという手しごとは、料理と同様、どんな方でも自分の手を使って何かを作り出すことが出来るという、かけがいのないすばらしいことです。雑巾を無心になって縫うことで、こころの安らぎも生まれるのです。
自分で縫った雑巾が畳んで置いてある風景くらいうれしいものはありません。家中をピカピカに掃除したくなるくらいです。
楽しい雑巾づくり
今日は雑巾を縫ってみましょう。楽しいですよ。
使い古したフェイスタオルを半分に切ります。それをもう半分に折ったものが雑巾になります。使い古したタオルが薄いものでしたら、取っておいた布切れなどを間に一枚はさむと、しっかりした雑巾に仕上がります。
糸は綿100%の30番くらい、もしくは刺し子用の糸を使います。針は糸に合わせて選んでください。糸の色はお好みでよいでしょう。赤や青や黒など、はっきりした色だと、手元がよく見えるので縫いやすく、出来上がりもよいです。
糸は2本取り(刺し子用の糸は1本取り)して、四辺の周囲から一針一針縫っていきます。力を入れて糸を引っ張らずに、少しゆるいかなと思うくらいで縫っていきます。糸が終わった時に、雑巾を手でしごいて糸の張りを整えます。周囲はていねいに縫ったほうが丈夫さに差が出ますので念入りに縫います。
周囲を縫ったら、その内側を運針していきます。格子にしたり、対角線にしたりと自由ですが、まずは縦か横一列に等間隔に縫っていくのが簡単でよいでしょう。対角線に縫う時は、ペンで線を下書きしてください。縫い目が多ければ多いほど、丈夫な雑巾が出来上がります。
一枚を縫うのに、一時間から二時間はかかります。お休みの日や、一日の終わりなどに、急がずにゆっくりていねいに縫いましょう。一度に仕上げずに二、三日かけてもよいのです。また、多少、糸目が揃わなくても気にしません。もの作りは楽しむことが大切ですから。
きれいな雑巾
一人で雑巾を縫う時間は、気持ちが穏やかになってとてもいいものです。日々が忙しい人こそ、夜眠る前に少しの時間だけでも、針と糸を持つことをおすすめします。
雑巾が数枚出来上がったら、畳んで重ねてみてください。自分の手で作った雑巾のいとしさが湧くでしょう。一枚縫うと、何枚も縫いたくなるものです。
新品の雑巾は台拭きにして、使って古くなったら床拭きにし、最後は表玄関など外で使うように下ろしていきます。
最後に、「清め拭き」という言葉をご存知でしょうか。雑巾で汚れを拭きとった後に、もう一度きれいな雑巾で拭きとって、清める方法です。清め拭き用の雑巾がある暮らしはすてきです。
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さもない事を大切に、心を込めて手作りする人になりたいです。。
偶然この記事にたどり着き、チクチク手縫い。裁縫は苦手だけどアナログな事はすき。笑っちゃうほど不揃いな縫い目に一人、愛着を感じる夜更け。手仕事っていいなと思った夜更け。ちょっと自分が好きになった夜更けだった。
息子が小学校で掃除に使う雑巾を、今までは既製品で済ませていましたが、今年度は手縫いのものを持たせました。白地に青の糸。少し線が曲がってしまい、恥ずかしいと嫌がるかなと思いましたが、おしゃれだと喜んでくれ、嬉しい気持ちになりました。