くらしのきほんブックガイド7

つぼみを
開かせよう

文・写真:松浦弥太郎
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日本において、絵本やグラフィックで知られるイタリアのデザイナーであり芸術家のブルーノ・ムナーリ。彼は、創造力、発明、想像力、そして、ファンタジア(自由な能力)という人間のすばらしい能力を発見し、そのメカニズムを、デザインやプロダクト、著書を通じて、子どもに向けてわかりやすく説いている。本書『木をかこう』もそのひとつだ。

『木をかこう』ブルーノ・ムナーリ作 須賀敦子訳 至光社国際版絵本 定価1,543円(税込)

たとえば、木をかいてみる。そのために、木とは何かと今までと違った新しい角度で観察してみる。すると、木の新しい側面と、自分の新しい感受性の発見を得て、大きな感動を覚えるだろう。その発見をひとつの学びとして、自分の身の回り、そしてこの世界を、今後どのように見つめるのか、観察すべきなのか。

木をかいてみる。それは絵を上手に描くための練習ではなく、新しいことを考え出させる、人間の持って生まれた能力のレッスンである。この能力を、私たち個人が日々の生活や仕事の中で発揮できれば、なんて素晴らしいことであろうか。ここにムナーリの理想がある。その方法を本書『木をかこう』が、楽しく教えてくれている。

木のいろいろな規則ってなんだろう。

いろいろなものを見なおしてみよう。すると、自分の中のファンタジアのつぼみが開いていくのがよくわかるだろう。まずは一本の木をかいてみればいい。かきかたは自由だ。紙とペンでなくてもいい。

イタリアとゆかりのある作家、須賀敦子さんの翻訳も素晴らしい。

2015年10月31日
文・写真:松浦弥太郎

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