食べる人を考える
古くから日本は、新鮮な野菜と魚介、良質な水に恵まれているため、料理では材料を切ることを大切にしてきました。私たち日本人は、なにより生食を第一に考えてきた民族だからです。
料理において食材を切ることは欠かせないことです。切り方は、何が大切なのかを考えました。
まず、切るには庖丁やナイフを使います。庖丁は、定期的によく研いで、力を入れることなく材料が切れるようにしておきます。
庖丁はいつもといでおく
よく切れる庖丁を使うと、料理が数倍楽しくなります。たとえば、キャベツや玉ねぎ、じゃがいもといった野菜は、切れる庖丁を使うと、疲れることもなく、いつまでも切っていたいと思うくらい楽しくなります。
切れ過ぎると指を切りそうで怖いという方もいらっしゃいますが、庖丁が切れないために、余計に力を入れてしまい、誤って指を切ってしまうことが多いのです。庖丁がよく切れることで指先の注意もしますし、それだけ料理の仕上がりもよくなるのです。
ていねいに切ること
普段の料理において、大ざっぱで、よいことはひとつもないのです。簡単なことではありませんが、週末だけでも、ていねいに切ることを心がけてみる。それでいつもとどのような違いを感じるか、ぜひ確かめてみてください。何かしらの心の変化や、こしらえる時、食べる時に、感じたり思ったり気づいたりする何かがあるはずです。
庖丁の基本の使い方で知っておきたいことがあります。
うす切りの場合は庖丁の先で切ります。せん切りの場合は庖丁の3分の1くらいのところで、皮むきは庖丁の根元のほうで。乱切りは庖丁の先で切ります。使いはじめは、庖丁をぬれブキンでふきましょう。途中も幾度も汚れをふきとりましょう。
手の味のおいしさ
料理の味つけはとても難しいことですが、切り方は訓練と心持ちで上手になります。さいの目切りを例にしますと、スープを作る場合、にんじん、じゃがいも、玉ねぎといった野菜をできるだけ同じ大きさで揃えて、きれいに切ったものと、大きさがばらばらに切ったものを比べてみましょう。たとえ、味つけの仕上げがうまくいかなくても、きれいに切った野菜を使ったスープは、おいしく感じるものです。なぜでしょうか。それは食べる人のことを考えて、ていねいに切ったという手の味が加わっているからです。
寸切という教え
日本料理の切り方の基本に寸切りという教えがあります。野菜は一寸(およそ3センチ)に切り揃えるという教えです。なぜ一寸に揃えるのでしょう。それは、食べる人が口に入れやすい、口に入れて噛みやすい大きさが一寸なのです。一寸こそが、日本人にとって一番食べやすいサイズと言われています。
どんな料理でも、どうしたら食べやすいのだろうかと、考てみてはいかがでしょうか。固いもの、やわらかいもの、切りやすいもの、切りにくいもの、熱いもの、冷たいものというように、食材や料理はいろいろです。
心をこめることの大切
子供やお年寄りが食べやすいだろうか。苦労しなくても、食べられるだろうかをよく考えましょう。そうしたら、どんな庖丁で、どんなふうに切ったらよいか、よくわかるはずです。心のこめかたは、必ず料理の味や見た目にあらわれるのです。
そしてまた、自分が料理している姿を生産者が見て、喜んでもらえるかどうかも考えてみましょう。どんなに忙しくても、生産者と食材への感謝の気持ちを忘れてはいけません。
食材は捨てるものさえ美しくあるのが理想です。
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ていねいに包丁を研いで、ていねいに切る練習をします。「一寸」「手の味が加わる」「心のこめかたが味や見た目にあらわれる」「生産者に喜んでもらえるか」紙に書いて貼りました。ありがとうございます。感謝。
松浦さんのお料理の動画を拝見すると、必ず真似て作りたくなります😃なぜ?理由がわかりました😃料理時の所作の美しさと包丁の使い方の丁寧さから仕上がる美味しそうなお料理だからでした😃丁寧さを真似て作ります😃ありがとうございます😃
今年最後の包丁とぎをし…ささやかなお正月の準備。
休日の午後、ていねいに野菜の下ごしらえをする穏やかな時間も好きです。
包丁をといだあとは皮をむいたり、切り揃えたり、気持ちいいから、もっとこまめに包丁をとぎたいと思います。