エプロンのことを、こんなに考えているのは、はじめてのことです。どんなエプロンがよいのか、うれしいのか。どんなエプロンなら料理が楽しくなるのか。寝ても覚めても、あれこれ思い悩んでいます。「考えるよりも手を動かす。手を動かしながら考える」という、祖母の言葉を思い出し、早速サンプル作りを業者に依頼しました。
デザインの元は
リネン生地で、色はネイビーとベージュ、ポケット付き。軽くて着心地が良くて機能的、シンプルで飽きのこないデザイン。私たちはこんなエプロンを望んでいます。
そんなある日、昔、パリの蚤の市で手に入れたアンティークのエプロンのことを思い出しました。そのエプロンは、フランスでは定番とされるデザインらしくて、直線裁ちの手法で作られたものでした。「これだ!」と思いました。生地はほぼ正方形。正方形の上の部分を、両側から斜めに折って縫製してあり、エプロンの胸の部分が出来上がっています。なんて合理的なデザインなのかと感動しました。生地が正方形なら、洗濯しても干しやすいし、曲線が無いので縫製もしやすいのです。
国産のリネン
サンプルを作っていただく業者さんに、おおまかな寸法を指示して、布地はリネンでお願いしました。リネンは軽くて、シワになりずらく、風合いがよい国産のものを選びました。サンプルをすぐに縫製してくれるとのことで喜びました。
サンプルの作り直し
業者さんの協力で、最初のサンプルはあっという間に出来上がりました。直線裁ちのおかげで、かわいくなり過ぎず、機能的で無骨な感じがとても気に入りました。特に、胸の部分がゆったりしていながら、しっかりと胸を覆ってくれるのが特徴です。
しかし、身幅と丈、ポケットの位置と深さの調整がどうしてもうまくいきません。業者さんの元で、試着をしては、縫製をほどいてを繰り返しました。この作業で一週間以上かかりました。納得のいくバランスの寸法がなかなか見つけられなかったのです。
友だちになれそうな
身長155センチを基準にし、それより前後10センチの幅を考慮して、きつくなく、ゆるくなく、肩がこらずに動きやすい寸法出しをしました。簡単そうですが、こんなにむつかしいとは思いませんでした。しかし、その黄金比のバランスを、苦労の末、やっと見つけることが出来ました。細かなパーツをこだわって調整し、ようやく納得の出来るサンプルが完成です。ここまでの道のりの長かったこと。サンプルを着用して料理もしてみました。
洗濯をして、縮みや色落ち具合を確認したり、ほつれが無いかなどの点検もしました。友だちになれそうなエプロンです。歩きやすさもテストしました。
胸部分を折れば、前掛けタイプにもなります。こんなふうに優れた2通りの使い道。
エプロン・プロジェクトはまだまだつづくのです。
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