夏が過ぎ、気がつけば柔らかい日差しになり、肌にあたる風もひんやりとして、秋の訪れを感じます。毎年この時期になると、子どものころ大好きだったキンモクセイの木を思い出します。街を歩いていると、突然ふわっと香る、心地のよいかおり。その先を行くと、橙色した、小さな花びらに出会います。
街を歩く時。いつもよりすこし、まわりの景色を意識しながら歩いてみてください。鮮やかな花の色や、雨あがりの緑のにおいなど、自然のうつろいを感じることができます。同じ自然界で生きる私たちにとって、たいへん心地よいことです。
花歩き。まずは、観察。
街を歩いているとき、偶然通りかかった家の庭や、道端で、かわいらしい花や、見たことのないかたちの葉を見つけることがあります。そんなときは、立ち止まって、近づいてみる。これが、花歩きのはじめの一歩です。
花を見るときは、記憶に残そうとせず、そのときの五感を使い、瞬間的に感じることが大切です。たとえば、この時期によく見かける「サルスベリ」の花だったり、「ダチュラ」の株だったり。目に入ったときに、この品種は何だろうと観察してみる。そうすると、色やかたちだけでなく、においまで感じとることが出来ます。通りすぎないで、ちょっと、眺めてみればいいのです。
東京・青山にある花屋「ル・ベスべ」の店主・松岡さんにお話をうかがいました。
「犬の散歩で、店の周辺を歩くことが多いんです。通りかかったマンションの1階に、パラパラと花びらが落ちているのを見かけると、その花びらが、どこからやってきたものなのか気になってしまうんです。見上げて、ベランダでブーゲンビリアを育てているのを見つけると、おっと思って、思わず立ち止まってしまいます。」
生き物が育つ場所
花や植物を育てるのに、庭がなければいけないとか、マンションには不向きだとか、そういった決まりはありません。花や植物、ひいては、生き物が好きな方というのは、場所など関係なく、しっかり育てているものです。ひと手間を怠っていない愛情のかけ方というのは、外から見て分かるものです。生き物を観察するときは、様々な場所を見てみましょう。
「たとえば、パッと見たかんじが煩雑としていて、発泡スチロールの入れ物の中で育てていたとしても、手入れされた植物を見かけると、「あ、この家の人は、こういう花が好きなのだな。」と、愛情が感じられるものです。たとえば、クチナシを育てている家を見つけたりすると、濃厚な香りや、虫に食べられている様子だとか、その庭ごとに、いろいろな個性があることが分かるんです。そういうところまで見て、感じとれると、自然って、しっかり循環しているんだなあと思います。」(松岡さん)
花を見て、歩く。ただ、それだけのことですが、ただ歩くことから、その姿勢を、視点を、すこしだけ変えてみるのはいかがでしょうか。
まずは、家のちかくを一周してみる。いつものお散歩コースがあれば、歩く距離をすこしだけ伸ばしてみる。歩くスピードをすこしだけゆっくりにしてみる。そんなふうに歩いてみることは、とても楽しいものです。
見ることを目的にせず、ぶらぶら歩いて、何気なく観察することを続けてみましょう。きっと、あなただけのシークレットガーデンが見つかることでしょう。
協力:松岡龍守(ル・ベスべ)
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最近、ランニングからウォーキングに運動を切り替え、散歩のように住宅街や森林の中で見かけたお花や鳥の声をiPhoneに記録しています。その場は眺めるだけでも、ちょっとした移動時間、隙間時間に花や鳥を調べます。お友達になれたようで嬉しいのです。
いつも花歩きをして楽しんでいます。この花はなんだろう?ここの家には、あの花が咲くはず。こんなところにこんなかわいい草花が咲いてるといつもうっとりと眺めて歩いてます
私のシークレットガーデンは木曽路の奈良井宿にあると聞いたギンモクセイ。
白いその花の香りは金木犀と一緒とか・・行って見てみたいと思いながら、まだ叶えてはいない😃一緒に行こうと約束した夫の供養で今年は行こう。